算数の入試問題の構成を考える
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中学受験算数の第一歩は、計算力をつけることだ。
受験算数では、とにかくまず計算力をつけることが第一で、計算が駄目だと、中学合格なんて夢のまた夢だ。
というのも、必答問題である計算問題がまず取れないからだ。
私立中学の算数の入試問題では、一問5点✕20問という構成になっており、100点満点で合格判定される中学が多い。
合格点は中位校では60点、人気の高い中学だと70点くらいになっているので、だいたい14問以上正答を出せれば合格だ。
そのうち、計算問題が5題(大問1)、簡単な文章題(一行問題・大問2)が5題ほど出題される。
この部分は「必答問題ブロック」で、算数では、まずこの10問をいかに確実に得点できるかが鍵となる。
必答問題ブロックで正答できないと合格できない
必答問題ブロックは、中学の難易度や人気度によって多かったり少なかったりする。
偏差値50前後の中学では、計算・一行問題合わせて10問くらい。
偏差値45以下の中学では、計算・一行問題合わせて12問くらい。
一方、人気のある大学附属中学などでは、問題の難易度が上がっていたり、問題数が少なくなっている。
開成中学や桜蔭中学校、早慶の附属中学などになると、計算問題はあったとしても3問くらいで、1問も出題されない中学もある。
必答問題ブロックは非常に重要で、ここで得点できなければ、どこで点を取るんや?という感じになる。
10問正答だと、この時点で50点取れるわけだから、合格するにはあと3問~4問くらい正答できれば良い。
大問3以降の小問1を3つ4つ取れば、楽に合格点が取れてしまうし、他でのミスを埋め合わすことができる。
一方、足し算・引き算・掛け算・割り算といった四則演算を正確にできないと、計算問題も一行問題(文章題)の得点もおぼつかない。
そうなると、更に難しい大問3以降の問題も、まず解けない。
こうなると、入試合格なんて夢のまた夢だ。
小数や分数の計算を、なぜ4年生から教えるのか?
受験のテキストとして有名な「予習シリーズ」は、2021年度から新しい内容になった。
予習シリーズは、中学受験大手の四谷大塚が出している受験テキストだが、新版では内容が半年分くらい前倒しになった。
その影響で、小学校では5年生6年生で習う、小数の掛け算や割り算(5年生前半)、分数の通分・約分jと分数の足し算や引き算(5年生後半)、分数の掛け算や割り算(6年生前半)を、四谷大塚や早稲田アカデミーでは、4年生の夏休みに習うことになった。
小学校では5年生や6年生で習うような難しい内容を、なぜ四谷大塚では4年生で教えるのかというと、これはやはり受験で使うツールだから…ということだろう。
中学受験の入試問題は、小学校で学ぶ計算全てができることを前提としているから、小数や分数の計算はできないと始まらないのだ。
小数や分数の四則演算なしで教えることができる単元が、あまりないというのも、計算を前倒しして教える理由だろう。
ロバスト性といって、小学校4年生くらいでは、いくら教えても理解できないことは多いのだけど、超難関校の合格者をたくさん出したい大手中学受験塾としては、そういう生徒は後回しで良いということなんだろうね。