ダイヤグラムと面積図は、抽象度が高くて難しい
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ダイヤグラムや面積図は、非常に抽象的なものだ。
だから小学5年生や6年生が理解できなくても仕方がない。
5年生のうちに理解して描けないといけないのは、線分図の方だ。
線分図は、長さで数量を表すわけだから、こちらはまだ容易い。
子供は、直感的に長さで数量を理解することができて、たとえばコップに入ったジュースの量も、体積ではなくて高さ(かさ)で判断するそうだから。
これは同じ体積のジュースを、細いコップと太いコップに入れて、子供に多い方を取らせた実験からわかる。
子どものおよそ80%は、細いコップを選び、残りの20%が太いコップを選んだという。
80%の子供は、細いコップであろうと、太いコップであろうと、ジュースの液面が高い方を選んだということらしい。
コップの底面積など関係なく、上の方まで入っている方がジュースの量が多くて、下の方しかない方が量が少ないと判断しているわけだ。
だから線分図で数量を長さで表現するのは、5年生のうちに習得しておきたい。
素直な子供ほど、難しいことは理解できない
一方、ダイヤグラムや面積図は、長さそのものではなく、座標(位置)だとか面積などが重要になる。
ところがここで問題が生じる、というのも素直な子供にとって、長さは長さであって、面積は面積でしかないからだ。
その座標や面積が、それ以外の意味を表しているのだから、素直な子供ほど理解しがたい。
具体的には、ダイヤグラムでは、座標が時刻と距離の2つの数量を一つの点や線で表す。
ダイヤグラムでは、縦軸に「家からの距離」、横軸に「時刻」をとり、その経過を点の軌跡(線)で表すから、グラフ内の線の長さは家からの距離でもないし、時間の長さでもない。
もちろん全く無関係ではなく、高校数学で三角関数を学べば、グラフ内の線の長さのサイン(sin)は距離になるし、コサイン (cos)は時間にはなるのだが、小学生にそういう話をしても、さらに頭が????となるだけだろう。
せいぜい、時間経過と距離の変化を左右の指で見せるとか、そういうことでしか教えることができないだろう。
ところが、このダイヤグラムの理解があるかないかで、旅人算や流水算などで、問題に対する難易度が変わってくるから困る。
つまりダイヤグラムを描ける子供は、かなり複雑な問題でも考えて答えを出せるが、そうでない子供は答えにたどり着けないのだ。
面積図は応用範囲が広いが難解
ダイヤグラムでは、横軸は時刻で、縦軸は距離、というふうにタテヨコの数量の意味が決まっているが、面積図はそれすら決まっていないので、さらに子供には難解だ。
たとえば「つるかめ算」で面積図を使う場合、縦軸に足の数、横軸に鶴と亀の頭数を取り、面積で足の数の総数を表す。
面積が足の数を表す?というと、なんだそれ?という感じで、非常に抽象度が高い。
また売買差益の問題でも、面積図を使うことができて、この場合は縦軸に単価、横軸に数量をとって、面積で売上金額を表す。
さらに食塩水のまぜあわせの問題で面積図を利用する場合は、縦軸に濃さ、横軸に食塩水の量を取り、面積は食塩水に含まれる食塩の重量を表す。
こういうふうに「かけ算の結果」を面積として表すのが、面積図というものなのだが、これが理解できるかどうかは、中学入試の大きな関門の一つだ。
高校の物理でもVTグラフというのがあって、縦軸に速さ、横軸に時間を取るグラフがあるが、面積は移動距離を表したりするのだが、高校生時代二の自分には全くピンとこなかった。
なので、全ての小学生にこれを理解しろというのは、なかなか酷な話だ。
面積図は、いろんな特殊算でいろんなパターンで登場するため、混乱して理由がわからなくなる場合もあるだろうし。
ところが食塩水の混ぜ合わせの問題では、面積図でないと解きにくい問題も出てくるから、どうしても学習しておきたい。
ダイヤグラムも面積図も、入試本番までに使いこなせれば良いし、最悪、入試までに使えなかったらもう諦めるしかない、やるだけやったし、というタイプの技術だから、できなくてもおかしくはない。。