図形問題は、深入りすると泥沼になるかも。
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算数の入試では、図形問題が必ず出題される。
だから図形問題の学習が必要なのはわかっているが、いったいどの時期に学習すればよいのだろう。
色々考えては見るが、これは結構、難しい問題だ。
というのも図形問題は、平面図形の面積や角度を求める問題もあるし、立体図形の表面積や切断面を考える問題もある。
平面図形の面積問題は、円が絡む問題が多くて、計算が面倒だし、
円が絡まなくても、比を使って影をつけた部分の割合を答える問題も多い。
円が絡む問題は、小数の掛け算わり算が必要だから、小数のかけ算わり算を学習した後でないと解けない。
また面積の割合の問題は、分数の計算だとか、比や逆比の知識が必要だから、これらを学習した後でないとできない。
ということで、4年生の段階では、平行線と角、三角形や四角形の面積あたりを大手学習塾では教えているようだ。
予習シリーズや、中学受験新演習での図形の扱いは?
予習シリーズを見てみると、平行線と角、三角形や四角形の面積、多角形と内角の和、円と扇形、立方体や直方体の体積などは、4年のテキストに載っていて、既習となっている。
そして5年上の2番目に「いろいろな面積」として、円が絡む平面図形の問題を扱っている。
これは四谷大塚のカリキュラムでは、4年生の2月に割り当てられているので、5年生から中学受験を始めた場合は、かなり前ってことになる。
さらに同じ5年上の第8回・第9回(5年生の4月)には、「多角形と円の転がり」という単元がある。
これは図形が移動したときの軌跡(通った跡)の面積を求める問題で、中学入試でも(解答に時間がかかる上に)間違えやすいタイプの問題だ。
特にくぼみがある平面図形の周上を円が転がる問題とか、5分以上も時間をかけて解いても、全然正解にたどり着けなかったりする。
なのでこれはもう入試本番では「とりあえず計算はしてもよいが、深入りしてはいけない問題」「時間がないときは、捨てないといけない問題」であるので、本当に扱いが難しい。
予習シリーズでも、連続した2単元で扱っているので、難しい問題だという認識は合ってるだろう。
入試本番でパスするような問題は、スルーしてもよい
軌跡の問題は、大学入試の数学でも、難しい分野の問題だ。
特にイメージしにくい立体図形は、体積を求めるにしても、うまく境目を探して積分して、答えを出さないといけないし、そういう問題は東大でも京大でも出題してくる。
私も入試本番で、正三角形が、とある軌道の上を動いてできる立体図形の求積問題で、30分くらいのたうち回ったことがあるし(もちろん不合格)。
だから熱中しやすい子供が、図形問題に深入りすると、不合格の確率が上がってしまう。
単純な図形の周を、円が一周転がる問題というのは、曲がり角のところの扇形を集めると、1個の円にまとまる場合が多いから、こういう問題は必答だし、解けないといけない。
しかし複雑な図形の周上を円や三角形が転がるような問題は、円1個にまとまることが少ないから、扇型部分の中心角の合計がどうなるか考えないといけない。
しかも扇型部分が重なり合っていたりすると、重なった部分の面積を引かなければならないわけだから、更にややこしいことになる。
こういう問題に長く関わっていると、ついつい模試や入試本番でも深入りしてしまい、時間ばかり喰って、1点にもならない羽目になる。
図形問題は、解くのに熱中しすぎると、試験時間をあっという間に消費してしまうから、難関校や上位校を狙える生徒以外は、軽く触れてスルーしたい。
無理して出来るまでやらせるような単元ではないし、特に円周率の計算すらちゃんとできない子供には、無理だ。
ということで結局は、長方形や三角形の周をぐるっと一周したときの軌跡の面積を求めるというような、比較的シンプルな問題だけやって、後はもう子どもの成績を横目に見ながら教えるしかない。
5年生から中学受験を始める場合は、「こういう問題もあるよ」という感じで軽く説明して、いったんスキップしても良いと思う。
それだけでも2週間分、追いつけるわけだし。