中学受験算数 面積図が使えるようになると一人前
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面積図は、中学受験独特の解法だ。
中学受験の算数では、中学や高校では殆ど使われないテクニックがいろいろあるが、面積図もその最たるものだろう。
中学受験では、連立方程式による解法が使えない。
そのため、つるかめ算だとか面積図によって答えを導き出すわけだが、面積図ほど頻繁に使われるものはない。
つるかめ算を解く際にも面積図を使う場合があるし、平均の計算なんかでも面積図が使える。
売買差益算でも使うことがあるし、食塩水の混ぜ合わせの問題でも使う。
価格と個数、利潤率と個数、食塩水の量と濃度、速さと時間など、異なる単位のかけ算をするような計算の場合、面積図はたいてい使える。
こんなに便利な面積図であるが、中学以降の勉強ではほとんど使われなくなる。
中学以降で面積図を使うのは、物理のVTグラフだとか高校の積分計算くらいやね。
面積図は、抽象的なので、応用力が試される
面積図は、非常に抽象的なツールで、すぐに理解できる子どもと、なかなか理解できない子供に分かれる。
というのも面積図では、面積が広さではなく別の数量を表すからだ。
しかも表される数量は、特定の何かではない。
たとえば、つるかめ算で面積図を使う場合は、縦軸に足の数、横軸にツルとカメの頭数をとり、面積は「足の数の合計」を表す。
売買差益算の場合は、縦軸に価格、横軸に数量(個数)をとり、面積は「売上金額」を表す。
食塩水の問題で面積図を使う場合は、縦軸に濃度(パーセント)、横軸に全体量(グラム)を取って、面積は「含まれる食塩の重量」を表す。
速さの問題なら、縦軸に速さ(時速・分速など)を取り、横軸に時間をとって、面積は「進んだ距離」を表す。
つまり問題の種類によって、縦軸と横軸の単位も違うし、囲まれる長方形の面積も違う数量を表すわけだから、臨機応変に対応できる子供でないと混乱する。
これが速さと時刻を表すグラフ(ダイヤグラム)であれば、縦軸と横軸の単位は固定されているから、ただそれを覚えれば良い。
縦軸に家から駅だとか学校までの距離を取り、横軸に時刻を取るだけで、覚えればそれをそのままやれば良い。
ダイヤグラムにはダイヤグラムの難しさはあるのだけれど、グラフ自体は縦が距離で横が時刻に決まっているという点では、子供には分かりやすいはずだ。
しかし面積が広さではなく別の数量や概念を表すというのは、5年生や6年生ではなかなか理解しがたいから、根気よくやるしかないね。
面積図もダイヤグラムも、中学受験の算数では重要なツールだから、ぜひ習得してほしいところなのだが。