予習シリーズと新演習
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5年生から中学受験を始める場合、予習シリーズと新演習、どちらを使ったほうが良いか。
できるだけ塾にはいかず、家庭学習を中心に受験を考えている場合だとか、融通の効く個人塾や個別指導・家庭教師などを利用する場合、頼めば教材が自由に選べたりするから、慎重に考える必要がある。
予習シリーズと新演習では、学習の進み方や単元の配置がかなり異なるので、子供の能力ややる気を見て選ばないといけない。
ということで今回は、予習シリーズと新演習の比較だ。
予習シリーズは、いくつか単元が抜けている
予習シリーズと新演習の大きな違いは、学習カリキュラムが半年分ほどズレているという点だ。
どちらも4年生版があって、3年生の2月からスタートできるようにはなっているが、4年下からは予習シリーズがどーんと先へ進んでいく。
なぜそんな事ができるのかというと、予習シリーズには小数や分数を学習する単元がないし、比や比例・相似・通過算・時計算の単元がない。
これらはそれぞれ4年生の夏期講習(必修)と、5年生の夏期講習(必修)で学習することになっており、別に夏期講習テキストがあるのだ。
なので予習シリーズ4年下(4年生9月)からは、小数の計算や分数の計算を当たり前のように扱い出すし、5年下(5年生9月)からは、比や相似を使って解く図形問題や速さの問題などが登場する。
一方の中学受験新演習では、四谷大塚が夏期講習で教えている単元が、きちんと本編冊子に入っている。
なので新演習4年下は小数の計算から始まり、分数の足し算と引き算、分数の掛け算わり算を学習する単元があるし、比や相似、通過算や時計算の単元も、5年下に載っている。
要するに、四谷大塚系の学習塾は、予習シリーズから必要な単元を削って、それを夏期講習で学ばせることによって、カリキュラムを半年分ほど前倒しにしているわけだ。
なので教材として予習シリーズを使うためには、まずこの4年生の夏休みに学ぶ単元を別に学習していかないと、使えないということになる。
これは塾としても講師としても、なかなか大変だ。
網羅性から言うと、新演習。
5年生から中学受験を始める場合は、カリキュラム的には新演習のほうが使いやすいし、4年下から使うなら網羅性も高い。
予習シリーズには載っていない小数や分数の計算の単元から載ってるからね。
ただし4年生版のテキストを使うのが嫌な子供もいる。
自分は5年生なのに、なんで4年生の本? 自分ってそんなに出来ないの? という感じで、国語などはそういうことが起こりやすい。
国語の場合は、漢字学習が追いついていないと、読めない漢字や単語だらけになって、学習が進まないというのが原因で、1学年下の教材で学習するという方法もある。
しかし一学年下のテキストを使っているのが恥ずかしくて、塾の他の生徒にバレないようにカバーを掛けたりしている子供もいる。
なので結局、5年生から中学受験を始める場合、新演習4年下は使わずに、別の教材を用意して小数や分数の計算を教えた方が良いということになるわけだが、その後はもう、ほぼカリキュラム通り進んでいけば良い。
予習シリーズのように、比や比例、相似、通過算・時計算が省かれていないし、学習も6年生の夏休み前に全部終わる。
相似を使う図形問題や立体図形などの面倒な問題は新演習6年上にまとめて載っているし、超難関中学を受験するのでもない限りは、中学受験新演習に軍配が上がる。
わかりやすさは予習シリーズ
5年生から中学受験を始める場合、カリキュラムや網羅性では、中学受験新演習の方が良い。
ただ子供が読んで分かりやすいと思うのは予習シリーズの方で、練習問題の難易度も新版の予習シリーズの方が易しい。
予習シリーズでは、カリキュラムを半年分ほど前倒しにするために、4年生や5年生でも理解できるように、解説をよりわかりやすくしたらしい。
そして4年生や5年生には難しすぎる入試問題(チャレンジ問題)を無くして、類題・基本問題・練習問題だけにした。
つまり難しい問題を削って、その分のページを説明を詳しくするのに割いたということだ。
そしてもっと難しい問題に挑戦したい生徒さんには、難しめの問題集が別に用意されていて、そっちを利用してねってことになっているらしい。
一方、新演習は入試レベルの難しめの問題を「チャレンジ問題」として載せていて、これが中堅レベル以下の中学を目指す子供にとっては、全くの無駄なページになってしまっている。
そのせいなのか、予習シリーズと比べると新演習の例題の説明が簡素になってる印象がある。
予習シリーズは、もともとは「子供が自分で読んで学習できる」というコンセプトだから、わかりやすさを重視しているのだが、これは5年生から中学受験を始める場合にはありがたいね。