脳内誤変換との戦いに勝利せよ(1)
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脳内誤変換というのは、簡単に言うと「記憶のすり替わり」だ。
たとえば足し算。
足し算なんて、算数・数学の基本も基本なんだけれど、これがもう全く油断ならない。
というのも学年が上がっていくにつれて、だんだん難しくなるからだ。
たとえば小学校4年生からは小数の足し算。
5年生からは分数の足し算。
中学一年生では、負の数(マイナス)の足し算と、文字式の足し算。
中学3年生では、無理数(ルート)の足し算。
新しい足し算が登場するごとに、できる子供とできない子供に分かれてしまう。
まず最初の関門は、小数の足し算だ。
小数の足し算なんて、小数の意味が分かれば間違えようがないようにも思うが、残念ながらできない子供がちらほらいる。
中学1年生になっても、これができない子供がいる。
要するに、小数の概念というか、小数のイメージが上手くできていないんだ。
だからたとえば、
1 + 1.2 = 1.3
になったりする。
20 + 300 = 500
みたいな感じで、とりあえず数字のところだけ足して、あとは小数点を適当に打ってる感じだ。
これって一体どういう事なんだろう?と思うが、実は掛け算の計算法と計算が混じっているのだ。
小数の足し算・引き算を学習した時点では、ちゃんと意味が分かっていたのだけれど、そのあとに掛け算を習ったら、混ざってしまったと言うことらしい。
今の学校教育では、足し算引き算と、掛け算、わり算は同時に教えないので、計算法の切り替えができない子供ができているらしい。
小数というのは、実は難しい概念
分数というのは、エジプトやインド、メソポタミアでも使われていた数字だけれど、小数というのは、実は案外歴史が浅い概念らしい。
私は京大の森毅先生の「魔術から数学へ」という本で
このことを知ったと記憶している。
(あるいは数8(微積続論)の授業か、数学演習の授業だったかも知れない)
それを聞いたとき、「小数ってそんなに難しいモノだったのか?」
と、結構驚いた記憶がある。
ウィキペディアで今調べてみても、アラビア数字というのは、紀元前からある数字だけれど、これに小数点が使われ出したのは、12世紀頃のイスラム数学らしい。
それが西ヨーロッパの数学に入ってきたのは、16世紀前後。
つまり今からたった500年前だ。
ヨーロッパの数学が爆発的に進んだのは17世紀で、このころに生きていたのが、有名な数学者たちだ。
ガリレオ・ガリレイやケプラー、ニュートン、パスカル、ライプニツ、デカルト、フェルマー、現在高校で習う数学・物理学の
基礎的な法則がこの時代に発見されたわけだ。
この時代のほんの百年前まで、西洋の数学には
小数を表す統一した記述法がなかったってことは、小数という概念が、結構難しいって事なんだろう。
だから、「小数なんて簡単だ」と甘く見ていたら、できない子供はできないまま進級することになる。