漢字は読める。しかし書くのは全然ダメな子供
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漢字が読めるけれど、書けない。
そういうお子さんも、たまにいる。
6年生の教科書や、中学受験用の問題集の文章は読めるのだが、書き取りテストすると、4年生や5年生の書き取りテストでも、半分くらいしか正解できない。
漢字の読みはスラスラできるし、熟語の読みも問題なくできるのだけれど、なぜだか書き取りはダメ。
普通のお子さんは、読みと書き取りをセットで練習するので、読み取りができた単語は、書けるはず。
というか、読みで出てきた熟語を思い出して書くわけだから、7割とか8割くらいの熟語は書けるはずなのだ。
ところが覚えたはずの熟語や、少し前に見た漢字が書けない。
学習障害の一つのパターンに、「ディスグラフィア(書字障害)」と呼ぶタイプがあるのだが、ディスグラフィアに該当するケースもあるし、該当しないケースもある。
ディスグラフィアの場合は、漢字自体は書くのだが、書くのが遅かったり、線が少し足りなかったりする。
漢字のバランスが悪かったり、鏡像文字を書く場合もある。
偏とつくりが逆さになっている字を書いたり、見たことがないような文字を書いたりもする。
ところが、そういう風なことがないのに、なぜか書けないといった子供もいる。
同義語や対義語は書ける。でも書き取りはダメ
ディスグラフィアの場合、根本にあるのは「漢字を書くのが苦手」で「書くのが遅い」ということだ。
要するに、頭に漢字が思い浮かんでも、それを文字として書くという段階に困難があるケース。
なんとなく頭の中に、答えらしきものが浮かんできているのだが、実際に書いてみたら変な漢字を書いてしまう。
こういうのがディスグラフィアってやつだろう。
ところが漢字を書くスピードは速いし、偏やつくりはだいたい書けているのに、書き取りはダメ…というようなケースもある。
書き取り問題を見ても、漢字が全く思い浮かばないらしく、二文字の熟語でも、全く何も思い浮かばず空白のまま。
あるいは、一文字は思いつくのだが、もう一方は全く何も出てこないといった有様。
全く何も思い浮かばないのであれば、その言葉を知らないという事が考えられるが、一文字は合っているのにもう一文字が出てこないというのは、本当に不思議な現象だ。
しかも同義語を選んだり、対義語を書くような問題であれば、なぜかしっかり書けていたりするから、謎が深まる。
どうやら、同義語だとか対義語だという「ヒント」があれば書けるのだが、なにもヒントがな見つからない状態では、何も書けないということらしい。
ということで、
- 言葉や熟語を、たくさん覚えてもらう
- 次に熟語の意味をしっかり確認させる
- 熟語の意味から、部首など、文字のヒントを探す
というような対策をするしかない。
言葉や熟語をたくさん覚えるには、以前も紹介したが、こちらのドリルが良いと思う。
これは覚えておきたい語彙(熟語や慣用句、カタカナ語など)の意味を確認し、それを短文の空欄に当てはめていくだけの問題集だが、子供にとってハードルが低いし、作業も字を移すだけなので抵抗が少なく学習できる。
小学生の語彙力アップ 基礎練習ドリル1200
小学生の語彙力アップ 実践練習ドリル1100
支援教材を使ってみるのも、試す価値がある
漢字が書けないという場合、支援教材を使うというのも、試す価値がある。
支援教材というのは、学習障害や発達障害がある児童に与える教材で、一般向けに販売されている教材もある。
私が個人的に使っているのは、次の支援教材だ。
読み書きが苦手な子どもへの漢字支援ワーク 4~6年編
小学校高学年用の支援教材。
問題をコピーして子供にやらせる。
低学年向けの教材もある。
漢字支援ワーク 新教科書対応版 6年
このワークの場合、まず最初に部首を覚えるというところからスタートする。
そうして
- 部首の穴埋め問題
- 2つの漢字を組み合わせて熟語を作る問題
- 偏とつくりなどを足し算して漢字を当てる問題
- 一つの漢字を4つくらいのパターンで使う問題
などをやったあと、最後に普通の漢字の書き取り問題(ただし一文字だけの穴埋め)を行って終わる。