答え合わせを自分でできないと、学力は上がらない
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子供の成績を、確実に落とすのは簡単だ。
答え合わせを自分でさせなければ良い。
答え合わせを自分でできない子供は、確実に成績が悪いし、「答え合わせを塾でお願いします」と言われる親御さんの子供は、確実に成績が悪い。
それからもう一つの方法は、「暗算で計算させる」ことだ。
これはいつもいつも書いていることだけど、最悪の方法だ。
これを子供にやると、確実に成績は落ちる。
これは何年も子供を教えていた経験から、確実だ。
ただ、なぜそうなのか、その理由は最近まで、よく分からなかった。
もちろんこの前書いたPDCAサイクルがつながらないと言うのも一つの答えなんだけれど、また別の原因もあったのだ。
それを今回紹介することにする。
記憶や解き方は、簡単にすり替わる
答え合わせを(自分で)しない子供や、暗算で計算する癖のついた子供は、十中八九、成績が悪い。
その理由は一体どこにあるんだろう?と思ってずっとそう言う子供を観察していると、あることに気がつく。
それは、「いつも間違え方が同じ」ということだ。
たとえば計算問題を暗算でやって間違える場合、できないか、あるいはランダムに答えを間違うはずだ。
ところが答え合わせを自分でしない子供や、暗算で計算する癖がついた子供は、そう言うようにランダムに間違えるわけではない。
なぜかたいてい同じ間違え方をする。
なぜか同じところで、同じような間違えをする。
これはどういう事なんだろう?なぜなんだろうか? と考えると、「間違えて覚えている」ってことに他ならない。
つまり、こういう子供たちは「間違え方を、しっかり覚えている」っていうことだ。
俗に、脳内誤変換などといって、脳はある一定の確率で覚え間違えをするらしい。
たとえばある言葉を別の言葉と理解することがある。
「汚職事件」を「お食事券」と聞き間違えるなんて、よくあるね。
これなんかは「おしょくじけん」という発音が同じだから、聞き間違えるのは当たり前なんだけれど、記憶がすり替わると言うこともよく起こる。
Aさんから教えてもらったことだと思っていたら、全然別の人から聴いたことだった、とか、Bと言う場所で経験したことだと思っていたら、全然違うところでした経験だったり、夢で経験したことだったり。
NLPの本なんかでは、過去に似たような容姿の人から受けた経験(トラウマ)を、別の人に投影してしまうと言う話が載っているが、そう言う風に記憶というのはドンドンすり替わるんだ。
人間の記憶って言うのは、ある条件下やある確率で物事を間違えるようにできている。
つまり一旦覚えたことでも、何かの拍子に別の記憶にすり替わっていることが多々あるってことだ。
「Aさんの車は、赤色のワゴン」と思って探していたら全然見つからず、実は青いファミリーカーだったり、娘の誕生日だと思ってプレゼントを買ってきたら、奥さんの誕生日だったり。
そういう記憶違いなんて、日常生活には山ほどあるが、これは記憶のすり替わりが起こっているからだ。
答え合わせや筆算は、誤記憶を修正するチャンス
脳は間違える、記憶はすり替わる。
これはもう、脳の仕組みなんだから、変更しようがない。
だから問題は、その間違った記憶やすり替わった記憶をどこで正しい記憶に戻すかだ。
記憶の修正をしないで放置しておくと、それがそのまま定着してしまうんやね。
だからいつも同じところで間違える。
勉強で言えば、最初に覚えたことでも、何かの拍子で間違えて覚えてしまっていることがある。
たとえば、塾で一番確実で速い計算方法を教えても、そのあとに学校で教科書通りの方法を教わると、あとから覚えた方をしっかり覚えてしまうことがよくある。
それでも計算が合えば良いんだけれど、確実で速い方法と学校で習った方法がごちゃ混ぜになって、間違えだらけになるって事は良くある。
中3生でも、因数分解は完璧なのに、式の展開は全問不正解なんて子供がいたりして、本当に本当に心底ビックリする。
一問問題を解くごとに、自分で答え合わせをする
こういう間違えだらけの子供の記憶を修正するには、一問問題を解くごとに、自分で答え合わせをする必要がある。
問題を30問くらいやって、そのあとに答え合わせをするというやり方では、おそらく治らない。一問ごとでないと。
そうやって根気よく、一問ずつ修正していくしかない。
ところが子供に答え合わせをさせないと、それが修正できないから、成績は悪くなる。
つまり親や塾の講師が丸ツケをするというのは、子供の学力を落とす、一番てっとりばやい方法だということだ。
そうやって育ててしまったら、本当にもうできない子供になってしまうんだが。
満点賞でもあげて、自分で答え合わせをするインセンティブをしっかり与えないとねえ