本質的な学習と、小手先の勉強は、将来に響く
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塾を変えたいと思う理由は色々あるだろう。
しかしたいていは「成績が(思ったように)上がらない」ということになるだろう。
この場合、成績が上がらない理由が、塾にあるのか、それとも家庭にあるのか、原因を切り分けられないと、転塾しても同じ結果になる可能性が高い。
たとえば家に図鑑どころか、子供向けの辞書すらないような家庭では、成績を上げることなんてできない。
家で漢字の読み書きや、簡単な計算練習すらさせていないのであれば成績が上がるわけもない。
たまに、「塾で散々勉強させているので、家庭では勉強させません」なんておっしゃる親御さんもいるが、そういう家庭の子供は、自分で勉強しない癖がついていて学年があがるにつれて、どんどん落ちこぼれていく。
家庭で、自分で勉強する癖がつかないと、中学、高校と進むにつれて、学校の授業についていけなくなる。
しかしそういう事をちゃんとやっているのに、成績が低迷しているのであれば、転塾を考える必要がある。
算数を、天秤や比で解かせる塾は、やめた方がいい
そしてもう一つは、先の勉強のことを考えていない塾だ。
中学受験専門の塾にありがちだが、中学受験でしか使えない方法で問題を解くことをすすめる塾。
こういう塾は、危ない。
速さの問題でよく使われる「き・は・じ」というやつも、先々のことを考えると良くない。
き・は・じは、距離・速さ・時間という三つの要素を、○い円に入れた図のことだが、うろ覚えして使うとかえって間違いの元になる。
き・は・じの図
これがなぜ不味いのかは、別のページで説明しているので、そちらを見てもらえば有り難い。
三要素の関係式は、濃さ・濃度の計算にもあるし、中学や高校の理科では山ほど似たようなモノがドンドン出てくるし。
比で解くことをばかり教える講師や塾も危ない
算数の多くの問題を、比で解くことを教える講師や塾も危ない。
比を使うのが得意な講師は、なんでもかんでも比で解く方法を教えてくれたりする。
しかし比というのは、得手不得手があって、得意な人は得意だが、苦手な人はものすごく苦手なものだ。
私は一応、京大理系出身だが、単純な比の計算以外はできない。
逆比なんか、未だに理解できていない。
面積の全体比(全体を1としたときに、何分のいくつになるか)も記号や文字式を色々駆使してやらないと、でてこない。
メネラウスの定理を使わないと、解けなかったりする。
比を自由自在に使いこなすというのは、なかなか難しいのだ。
しかも比というのは単位がないから、単位が絡む問題には、殆ど使えない。
単位がある計算の方が、将来役に立つ
さらに比というのは、中学・高校とあがるにつれて、あんまり使わなくなるから、そこまでできるようになる必要はない。
先のことを考えれば、比を使いこなせなくてもいいわけだ。
一方、ダイヤグラム(グラフ)や面積図は、使用頻度がどんどん高くなる。
ダイヤグラムはグラフそのものであるし、面積図というのは物理や化学などで使う。
たとえば V-tグラフなんていう速度と時刻のグラフでは、面積が進んだ距離をあらわす。
濃度と重さのグラフでは、面積は溶質(溶けている物質)の量を表す。
電気でも、VIグラフを描けば、電力量を面積で表せるし、積分計算すれば、数値も計算可能になる。
グラフを描いたり、面積図で考えることは、勉強や学問の根本的なスキルであるから是非とも身につけて欲しいものだ。
なので、ダイヤグラムや面積図を子供に理解させるのが難しいと考えて、避けて教える塾は危ない。
ダイヤグラム・グラフや面積図は、子供には理解しづらいし、理解できない子供も多いが、中学高校の勉強では登場してくるものだから、取りあえず教えておく必要はある。
小手先の技で勉強すると、中学・高校と進むにつれて、どんどん落ちこぼれていくのだ。
中学合格だけしか考えずに、小手先の技を教えることに終始するような塾なら、転塾を考えた方が良い。