国語の成績が悪いのは(21)正答のカモフラージュ法
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国語の四択問題の話の続き。
現代文のカリスマ講師・出口汪(でぐち・ひろし)さんの本には、正しい選択肢の選び方について、・「イイスギ」はダメ
・本文からは読みとれないモノはダメ
というようなことが書いてある。
イイスギ、というのは、「そこまでは言っていない」ということで、過剰だって言うことになる。
たとえば本文中には「彼はネコが嫌いでない」と書いてあるのに、・彼は、ネコを溺愛している。
・彼は、ネコと一緒に暮らしたい
などという選択肢があったら、それはイイスギでダメってことだ。
こういう選択肢は、本文には反していないが、しかしそれ以上のことは断定出来ない。
彼がどれくらいネコが好きなのかは、もうちょっと情報がないと分からない。
それを勝手に判断している選択肢はダメってコトだ。
逆に言うと、四択の選択肢を作る場合、正答に近い誤答の選択肢は、そう言う余計な情報が付け加えたり、一見著者の主張に近い文言を盛り込んで
誤答をカモフラージュしているっていうことになる。
そしてその一方で、正答の選択肢は、正答だと分からないようにするため、選択肢の言葉を別の言葉に言い換えて
わかりにくくしているって言うことになる。
易しい言葉に言い換えるか、難語に言い換えるか
言葉の言い換えで正しい選択肢をカモフラージュするには、・やさしい言葉に言いかえるか、・難しい表現に言いかえるか
の二通りが考えられる。
たとえば本文中に
「みんなで競争して、よりよい結果を得ることが良いことだ」
というようなコトが書かれてあったとしたら選択肢は
(ア) みんなで知恵を出し合って、良いモノを作るのは正しい
(イ) 競争することは正しいので、良いことだ
(ウ) 切磋琢磨して、ベターな成果を上げることは利益になる
(エ) ライバルと張り合うことによって、必ず良い結果が出る
なんてモノが作れる。
これは「みんなで競争してよりよい成果を上げる」
↓
切磋琢磨
↓
ライバルと張り合う
というような類語の書き換えで選択肢を作る方法だ。
この四つのうち、どの選択肢が正答になるかは、本文しだいであるのだけれど、「切磋琢磨」という四字熟語の意味が正確に分からないと、正答を選ぶのは難しくなる。
この選択肢は、一応(ウ)を正答として作ってみたが、本文中の著者の主張によっては、(イ)や(エ)が正解になることもあるだろう。
こういう風に、本文中はやさしい言葉で表現していても、選択肢では難しい四字熟語や難語・抽象語を使って、正答をカモフラージュしていたりするわけだ。