中学受験、模試の結果が上がったら、危ない!
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中学受験の模試で成績が上がったら、親は喜ぶが、塾の先生はちょっと不安である。
というのも、それが本当に学力アップしているのかどうか、怪しいからである。
毎月のように模試を受けて、徐々に上がっているのなら、確かに学力はアップしているだろう。
また、偏差値のブレが小幅で、だいたい安定している場合も、少しずつではあるが学力はアップしていると考えられる
しかし最後の1~2回だけ模試で良い成績が取れたような場合、怪しい。
特にそこまで偏差値が乱高下していた子どもの場合なら、もうかなり怪しい。
だって偶然は2回くらいは続くものだから。
最後の1~2回で成績が上がった!と思って、志望の学校を上げた結果、本番の入試で軒並み不合格だったら、悲劇だしね。
だから逆に成績が落ちて、それがその子どもの実力レベルだったら、かえって安心する。
根拠のない点数アップは、何の参考にもならない。
塾の先生の山勘で点数が良い場合は要注意!
模試というのは、あくまでも模試である。本番の入学試験ではない。
だから成績が良かろうと悪かろうと、それを入試の本番のために利用できればよい。
それがわかっておられる親御さんは、受験をキチンとわかっていらっしゃる方である。
そしてまた模試で点数が上がった場合、それが学力アップしたからなのか、それともヤマが当たったり、たまたま得意な問題が出て点数が余分に取れただけなのか、疑うべきだろう。
それができる親御さんも、受験をキチンとわかっていらっしゃるからである。
というのも模試には流れがあるから、ある程度出題傾向が予想できるのだ。
入試の試験範囲というのは広いので、主な単元は必ず1回以上出題して、できるかどうか調べなければならない。
が、1回の試験で全分野から出題するのは難しいので、数回の模試にそれを割り振る。
だから過去問を解き、そこまでの模試で出題されていない分野にヤマを掛ければ、後半の方の模試では、結構ヤマが当たってしまう。
つまり塾の先生が、模試の直前に模試対策をすれば、点数の5点や10点は簡単に上げられて、中位以下のレベルの子どもの場合、偏差値も2つや3つは簡単に上がったりするのだ。
だから
「あの生徒、模試の成績がなかなか上がらないから、対策して少し上げてやろう」
そう言うことだって、実は可能なわけである。
成績が伸びない子どもの場合、
「塾は何を教えているんだ!」
と苦情が来るのを恐れて、そう言うことをやるなんてことも、よくあるだろう。
だけどそれを真に受けて、「成績が上がった!」 と喜んだら、本番の試験で失敗する。
模試はあくまで、できないところを発見したり、試験慣れするためにやるものであって、成績が上がったり下がったりで一喜一憂していると、失敗する。
模試の結果に一喜一憂するのは、親御さんにとってはとても楽しいことかも知れないが、塾の講師としては、受験校を決めるときには、冷静に判断して欲しいなと思う。